平成ドラマの小道具たち|手紙とFAXがつなぐ想い

音楽(歌謡曲)・文化

平成のドラマには、今ではちょっとレトロに感じる小道具がよく登場していました。
スマホやLINEがなかったその時代、人と人の気持ちをつなぐ手段は、もっと手間と時間がかかっていた―だからこそ、そのやりとりには特別な重みがあったのかもしれません。
今回は、そんな「手紙」と「FAX」にスポットを当てて当時を振り返ってみようと思います。

靴箱に忍ばせた「手紙」のドキドキ

平成初期〜中期の学園ドラマで欠かせなかったのが、靴箱に入った手紙。
放課後、そっと自分の靴箱を開けると、真っ白な封筒や折りたたまれた便せんが……。
差出人の名前がないと、それだけで胸がざわざわする。たった一枚の紙切れが、その日の気分も、恋の行方も左右するのです。

メールやSNSの既読マークとは違い、返事が来るまでの“待つ時間”も、恋愛の醍醐味の一部でしたよね。当時は「気になる人に告白するなら手紙で」という空気があり、実際私の学生時代にも手紙で友人が告白されていました。(いや青春だなぁ…)
『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(2001年)では、物語の最初から最後まで手紙が重要な小道具となっています。ぜひどんな役割を果たしているのか注目してみてください。

絵はがきで届く遠い場所からの便り

平成のドラマでは、遠く離れた人から絵はがきが届く場面も印象的でした。
旅先の写真や、美しい風景のイラストがプリントされたハガキ。
その裏に短いメッセージが書かれ、切手が貼られているだけなのに、距離や時間の差を超えて気持ちが伝わってきますよね。

たとえば『やまとなでしこ』(2000年)では物語の終盤、1枚の絵はがきを頼りに主人公はとある場所へ向かい…と、はがきが物語を動かす役割を果たします。
メールやSNSのように瞬時ではないぶん、そのアナログな感じがぬくもりを感じさせます。

ドラマに登場したFAXの存在感

「FAXなんて、ビジネスの道具じゃない?」と思うかもしれないが、平成ドラマでは意外と恋愛や家族のストーリーにも登場していたのです。
文字だけでなく手書きのメッセージやイラストをそのまま送れるのがFAXの特徴。ドラマの中では、相手の筆跡や落書きまでリアルに届くことが、温かみとして描かれていました。

例えば、突然の別れを告げるメモがFAXで送られてきたり、深夜に「今から会えない?」と手書きで送るシーンも。
紙でガガガ…と出てくるときに少しずつメッセージが明らかになっていくため、「この文章の続きはいったい…!?」と緊張感をもたせる演出効果もありました。

手間があるからこその物語

手紙もFAXも、現代のメッセージアプリに比べれば明らかに不便。
ただ、平成ドラマではその不便さこそが物語のスパイスになっていました。
ポストに入れる瞬間のちょっとしたドキドキ。すぐには届かないし、すぐに返事も来ない。だからこそ、受け取るまでの時間や、届いた瞬間の喜びが際立つ。

あの頃のように、紙を通じて気持ちをやりとりする機会はほとんどなくなってしまったスマホ全盛の今。
平成のドラマを見返してみると、その一枚の手紙や一通のFAXに込められた想いの重さを改めて感じられるはずです。

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