平成のドラマを振り返ると、「これ、あの時代の作品によくあったよね」というシーンや演出が山ほどあります。
恋愛、青春、家族、職場…ジャンルを問わず登場する共通パターン。今回はそんな“平成ドラマあるある”をまとめてみました。
ものを投げる
平成ドラマを見ていると、感情が高ぶった瞬間や何気ないシーンで、ものが飛ぶシーンがやたらと登場します。
大切な人に向けてリンゴを投げたり、別のドラマではオレンジを投げたり。離れている友人に向かって携帯電話をなげたと思いきや、別のドラマでは飲み物のパックを投げる…。
小道具はその場の状況によってさまざまですが、その瞬間の登場人物の感情をものに託して感情を可視化していたんですよね。
雨の中で抱き合う
恋愛ドラマのクライマックスといえば、雨の中での抱擁シーンです。
傘も差さずにびしょ濡れで走ってきて、言葉より先に抱きしめ合う…。現実では風邪をひく可能性大ですが、画面越しでは最高にロマンチックなシチュエーション。
特に平成初期〜中期は「突然のスコール級の雨」が多く、カメラに水滴がつくほどの本気演出。
そこにバイオリンやピアノのBGMが重なれば、視聴者の涙腺も一気に緩みます。
病院・学校の屋上で語り合う
平成ドラマにやたら登場するのが病院や学校の屋上。
患者がこっそり抜け出して友人と語る、学校の屋上で好きな人とや友人とお昼のお弁当を食べる…。屋上を舞台に、さまざまなシーンが描かれてきました。
私が印象的だったのは『高校教師』(2003年・TBS)のワンシーン。
物語のヒロイン・町田 雛(上戸彩)と友人・紅子(ソニン)が、サングラスをかけてパンをほおばりながらお互いのことを語り合うシーンが時々あったのですが、なんだか危うい青春って感じで子供ながらにわくわくしながら観ていたことを今でも覚えています。
あの鉄柵と都会の風景が映るカットは、当時のドラマの定番セットだったんですよね。
今は安全管理や撮影規制もあってこうしたシーンは減ってしまいましたが、平成の屋上シーンは静かな名場面製造機でした。
空港でのすれ違い
空港ロビーで「間に合わない!」と走る主人公。たった今ゲートを抜けたところで、すでに飛行機は離陸してしまった…。
平成ドラマはやたらと空港を舞台にした再会・別れのシーンが多く、旅立ちと恋愛をリンクさせる演出が光っていました。特に平成前半はスマホもSNSもない時代。「あと一歩」のすれ違いが最大のドラマチック要素だったんです。
走る! とにかく走る!
誤解させてしまった恋人を追いかける、好きな人に今すぐ思いを伝える、試験会場に向かう、約束の場所に遅れそう…! とにかく平成の主人公はよく走ります。しかも全力疾走。
ヒロインがヒールで走るシーンも珍しくなく、「え、それ走れるんか!?」とツッコミたくなる場面も多数。携帯電話もない時代なんかは、とにかく走るしかないのです。でもこの演出こそが、物語のスピード感と緊迫感を一気に高めていました。
平成ドラマあるあるは「制約の美学」
振り返ると、平成ドラマの多くはスマホやSNSのない時代ならではの“制約”から生まれた演出が多いことに気づきます。
ものを投げる、雨の中を全力疾走…! からの抱擁シーン、空港で無念にもすれ違う…。どれも、今では効率的な連絡手段や現実的な判断が邪魔をして、成立しにくいシーンとなってしまいました。
でも、その不便さこそがドラマに輝きをもたらしていたことは事実。
平成の作品を見返すときは、ぜひこうした“あるある”を探しながら楽しんでみてください。
きっと当時の空気や感情が、鮮やかによみがえってくるはずです。
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