平成のドラマと令和のドラマ――同じテレビドラマでも、その作り方や空気感は大きく変わりました。
この記事では、脚本・演出・音楽という3つの視点から、両時代の違いをわかりやすく解説します。
脚本の違い|丁寧な人間模様 vs バズ重視のテンポ感
平成ドラマ(90〜2000年代)は、人間模様の描写がとても丁寧。
恋愛ドラマなら、主人公が相手を好きになる過程を時間をかけて描き、回を重ねるごとに心の距離が縮まっていく。
感情の機微や沈黙すら演出の一部になっていて、自然と物語に引き込まれる構成です。
一方、令和ドラマはSNSでの話題性が重視され、初回から強いインパクトを残す展開が多い傾向。
1話の中に急展開や派手な事件を詰め込み、テンポを最優先にしています。
その結果、細かい感情描写よりも「わかりやすさ」と「見栄え」、さらに視聴者が“ながら見”しても置いていかれない構成になっています。
演出の違い|余白の美学 vs 情報盛り盛り
平成ドラマの演出は、とにかく余白を大事にしていました。
長回しで表情だけをアップで映したり、無音で場面をつなぐなど、静けさが感情を増幅させる手法が多く見られます。
カメラワークもシンプルで、人物同士の距離感や表情をじっくり見せる作りでした。
令和ドラマでは、演出は一気に情報量が増加。
効果音・テロップ・CG演出など、画面を飽きさせない工夫が随所に盛り込まれています。
特にコメディでは視覚的・聴覚的な刺激が多く、SNSで切り抜かれる“映えるシーン”を意識した作りが目立ちます。
音楽の違い|素朴な生音 vs デジタル感のある派手さ
平成ドラマのBGMといえば、ピアノ・バイオリン・ハーモニカなどの素朴な生音が主流。
恋愛シーンには優しいピアノ、切ない場面には哀愁あるバイオリン…と、静かに感情を引き上げてくれました。
音量も控えめで、セリフや沈黙を邪魔しない“引き算の音作り”が魅力です。
令和ドラマのBGMはより派手でデジタル感の強いサウンドが増加。
打ち込みやシンセ音を前面に出し、場面転換のジングルや効果音も多めです。
感情を盛り上げるというより、視覚的演出と合わせてテンポ感を作り出す役割が強まっています。
平成ドラマと令和ドラマの違いをまとめると…
平成ドラマ:じっくり描く脚本、余白ある演出、素朴なBGM
令和ドラマ:テンポ重視の脚本、情報量の多い演出、派手なBGM
どちらが優れているというより、時代のライフスタイルに合わせた進化なのでしょう。
ただ、ゆったり感情に浸る時間が減った今、平成ドラマの“間”や“音楽の素朴さ”を懐かしく思うのはきっと私だけじゃないはず!?
令和のスピード感に疲れたら平成ドラマを
平成ドラマは、心情を丁寧に描き、音楽と演出で視聴者をじっくり物語に浸らせてくれました。
そして昨今の令和ドラマは、SNS映えとテンポ感で短時間でも楽しめるスタイルに進化しています。
令和のスピード感にちょっと疲れたら、ぜひ平成の名作をDVDや配信で再生してみてください。
きっと、あの頃の空気感が静かに心を満たしてくれるはず。
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