私は平成のドラマが好きで、当時リアルタイムで見ていた世代です。
平成のドラマに欠かせない存在の1人としてあげられるのが、深津絵里さん。
常に作品を通してその独自の存在感を発揮し続けた深津さんは、まさに「平成ドラマを象徴する女優」のひとりだと思います。
今回は、彼女の代表作を振り返りながら平成のドラマシーンにおける深津絵里という存在の大きさについて考えてみたいと思います。
平成序盤〜中盤:青春ドラマで存在感を放つ
深津絵里さんの名前を一躍知らしめたのは、1994年のドラマ『若者のすべて』。
木村拓哉さん、萩原聖人さんらと共演し、青春群像劇の中で等身大の若者を演じました。
この作品は「若者が人間関係や社会の荒波に揉まれながらも、どう生きるか」をリアルに描いたドラマ。
感想としては、ドラマ全体の雰囲気は退廃的なシーンも多くかなりシビアなものでしたが
現代には出せない平成初期の独特の空気感を強く感じられる作品でした。
ラストシーンも余韻が残る演出でしたね。
続く『恋ノチカラ』(2002年)では、広告代理店に勤める女性を演じ、仕事と恋に奮闘する姿を表現しました。
堤真一さんとコンビは会話のテンポもよく、笑える場面とシリアスさとのバランスが◎!
深津さんの自然体の演技が、ドラマ全体を軽やかな雰囲気にさせていたように思います。
そして主題歌は小田和正さんの「キラキラ」。
小田さんの透明感あふれる歌声と前向きになれる歌詞が、よりいっそうドラマを印象付けていました。
『踊る大捜査線』で国民的女優に
平成の深津絵里を語るうえで、絶対に外せないのが『踊る大捜査線』(1997年)シリーズです。
織田裕二さん演じる青島刑事を支える同僚刑事・恩田すみれ役を演じました。
物怖じしない性格な一方、過去に負った傷が癒えず、くすぶっている一面をもつ役。
そんな繊細な役を違和感なく体現されており、その表情のひとつひとつが多くの視聴者を惹きつけたのだと思います。
『踊る大捜査線』はスペシャル版、映画化と長きに渡り愛される作品となり
同作品により深津絵里さんの認知度も一気に高まりました。
平成中盤:恋愛ドラマで多彩な顔を見せる
2005年のラブストーリー『スローダンス』では、妻夫木聡さんと共演しヒロイン役を演じました。
まさに“スローダンス”のタイトルのごとく、ゆったりとした空気感の中で物語は進みます。
年上だからこその不器用さ、もどかしさをうまく演じられていた深津さんの演技に、世代を超えた恋愛のリアルさを感じられた人も多かったはず。
また、『恋ノチカラ』や『スローダンス』に共通するのは「大人の恋愛を自然に演じられる」という点。
派手さよりも“空気感”で物語を引き立てる演技は、深津絵里さんならではの魅力です。
映画での評価と演技力
平成後期になると、深津絵里さんは映画でも数々の評価を受けます。
2010年の映画『悪人』では妻夫木聡さんと再び共演し、第34回モントリオール世界映画祭で最優秀女優賞を受賞しました。(参考:映画.com)
決して明るい作品ではありませんが、「悪とはなんなのか、何をもって悪なのか」という深い問いを投げかけられるような作品でした。
深津さんの、静かな表情の奥にある細かな感情の揺れ動きを表現する演技力を見せつけられた気がします。
平成終盤〜令和へ:変わらぬ存在感
平成後期から令和にかけても、深津さんは変わらぬ存在感を放ち続けています。
ドラマ出演は控えめになりましたが、その分出演する作品は常に質の高いものばかり。
2021年のNHK朝ドラで、親子三代のストーリーを描いた『カムカムエブリバディ』では、二代目の主人公を熱演。
一世代前の物語部分が重く悲しいストーリー展開でしたが、素朴で透明感のある深津さんの演技と存在感で次の世代へと違和感なくバトンがつながったように思います。
素朴な中にも芯の強さがある。その惹きつけられる存在感で「やっぱり深津絵里は素敵!」と改めて感じさせられました。
確かな演技力でその存在感を放つ女優、深津絵里
こうして振り返ると、深津絵里さんは突飛なキャラクター設定の役は少ない印象ですが
繊細な演技力が必要とされる役で、視聴者を虜にしてきた女優さんだと感じました。
・平成の社会背景を描いた青春群像劇『若者のすべて』
・大人の恋愛ドラマ『恋のチカラ』『スローダンス』
・国民的シリーズ『踊る大捜査線』
・安定の存在感を発揮『カムカムエブリバディ』
今回ご紹介した作品以外にも、深津絵里さんの魅力あふれる作品は多数あります。
さて、あなたの深津絵里さんベスト作品はどれでしたか?
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